お知らせ

【どんぐり】吃音のつどいを開催しました

お知らせ 2022年1月6日

令和3年10月16日(土)オンラインにて第5回 「吃音のつどい」を開催しました。

今年度こそは、福祉の里で皆さんに直接集っていただいて、楽しい交流会を開催できると思っていましたが、残念ながらコロナが終息する兆しもなく、それどころか緊急事態宣言まで出てしまい、福祉の里に集う形での開催は断念せざるを得ませんでした。そこで、私もようやく少し使い慣れてきた、「オンライン会議システムZoom」を使って、子どもたちも参加してもらい、安全に開催する方法をとることにしました。

前日急にご都合が悪くなった方などがあり、結果、参加は4家族でしたが、Zoomでゲームをしたり、交流会をしたりして充実した時間となりました。

また、今回、高山市の久美愛厚生病院で吃音の支援を精力的にされている言語聴覚士の田宮久史先生にもオンラインで参加していただく予定でしたが、先生のご都合により急遽中止となり、大変残念でした。次回は是非ご参加いただきたいと考えています。お楽しみに!

 

☆はじめに自己紹介☆

マイブームや好きな食べ物を紹介しながら自己紹介。

子どもたちは、ポテトサラダが好きとかピアノを弾くのが好きとか、カレーが好きとか、メダカとハゼとクワガタを飼っているなど、みんなしっかりお話ししてくれました。ちなみにスタッフのマイブームは、釣りが好きとか、ミツバチを見るのが楽しいとか、ショパンコンクールのライブ配信を見ているなどマニアックでした。

 

☆Zoomでゲーム☆

クイズ7つのしつもん:安田が用意した「あるもの」の写真が何かを、みんなが1つずつ質問して当てるゲームです。わかったら紙に書いて示してもらいました。みんな勘がよくて、すぐにわかりましたね!

答え:パンダ/ラーメン

7つの質問・画像 パンダ.jpg・画像 ラーメン.jpg・画像

家族対抗 探せ!「あ」のつくもの : 家のあちこちからいろんなものを見つけてくれました!

 さがせ・画像 アイロン・アンパンマン・赤色のペン・アンパンマンのスリッパ・アリエル・アーモンド小魚・飴・アシックス・アイス・あいいろ(色鉛筆)・明り・油・網・アメリカザリガニのぬいぐるみ・あんこうのぬいぐるみ・空き缶など

◆交流会(保護者のみ)

★自己紹介

・小3:吃音があるのが日常になり、気にならなくなった。1年生に入る時は(学校の先生に)安田に吃音の話しをしてもらったが、その後学年が上がるたびに、自分で担任に吃音のことを話し、よく理解してもらっている。

・小3:家では吃音が沢山出ているが、学校では吃音が出ること気にして、発表はあまりしないでいるようだ。体育などは、伸び伸びとやれている。担任には、吃音のことを話してあり、よく理解して頂いている。

・2年生:言語通級に週1回通っていて、そこでは楽しく喋れているが、クラスでは、本人が吃音が出ることを気にしてあまり喋らないため、おとなしい子だと思われている。担任にはよく理解してもらっており、クラスの子どもたちにも真似したりしないルールが浸透していて不安感はない。学年が1クラスしかないので、1年生から持ち上がりで、子どもたちも吃音のことをよく理解してくれている。ただ、たまに真似されたりするらしいが、本人はきちんとそのことを親に伝えてくれるので、担任に伝えて対応してもらっている。

・年長:吃音があることを自覚しているが、伸び伸びと過ごせており、また、担任にも吃音のことをよく理解してもらっている。友達からの真似やからかいはないようだが、年長なので、就学前にクラスの子ども達にも担任から吃音のことを伝えてもらいたいと考えている。

・年長:2~3か月ぐらいの間隔で症状の波がある。現在は吃音が出ている時期。最近自身の吃音の自覚ができるようになり、先日たまたまとった動画が、吃音の症状が結構出ているものだったので、それを見て少しへこんだりして気にしている様子がある。幼稚園は仲良しの友達もあって楽しく通っているが、同じ小学校へ行く子がほとんどいないので、本人も少し不安に感じているし、吃音の症状が強くならないといいけれど‥と親も不安な気持ちがある。

★吃音のことを周りの人に理解してもらうことについて

・3年生:小学校1年生の時は、新しい環境になり、親も心配だったし、本人の希望もあって、クラスの子どもたちに担任から吃音のことを話してもらった。その後は、本人の自覚もしっかりしてきたし、真似されたりした時でも、自分でやめてほしいことをつたえるなどの強さが育ってきているので、担任に話してもらうかどうかは本人の気持ち次第と考えている。まずは自分で頑張ってみて、それでも嫌な気持になるようなことがあって、担任から話してほしいという気持ちになれば、親から先生に伝えようと考えている。別のクラスの子たちも本児に吃音があることを知ってくれいる。

*安田コメント:子どもの内面の育ちには個人差があるが、吃音のことを自覚して自分で対応できる強さを持てるような時期がくることが目標だと思う。以前、小学校4年生ぐらいの子で、集会の場面で自分で吃音のことをみんなに話したという例を聞いたことがあるが、そうできるまでは、大人が本人と吃音のことを共有したり、クラスの子どもたちに担任から話をしてもらうなど、しっかり守ってあげることが必要。そうした大人の支えの安心感があるからこそ、自分で頑張ってみようという勇気が生まれてくるのではないかと思う。

★吃音があることと、その子の性格との関係

・3年生:本人のもともとの性格として、恥ずかしがり屋で心配性なところがある。学校の担任は吃音のことをよく理解してくれているが、本人の性格上、なかなか心を開けないのと、吃音が出ることを気にしていることもあって、学校では発表を控えておとなしくしているようだ。これまで、吃音のことを気にしないで、もっと喋ればいいよと伝えてきたが、恥ずかしがりで心配性なもともとの本人の性格を考えると、無理強いもできないと思うし、そういう性格であることは認めてやりたいとも思う。学校では、挙手しないので、担任が本人に、「何か意見ある?」とふってくれる。そういう場面だと本人は渋々意見を言うようだが、担任がそれに対して「いい意見言ってくれてありがとう。」と褒めてくれている。小6の姉は吃音はないが、クラスであまり意見を言わないようで、きょうだいそろって似たところがある。だから、吃音が理由で発表しないと考えがちだったが、そうではないと吃音と性格を切り離して考えないといけないと感じている。

*安田コメント:もともとの本人の性格によって、人前で話すことの苦手さがあるという視点は大切。ただ、吃音があることをマイナスにとらえないようにはしてあげたいので、常に本人と吃音のことを共有してフランクに話せる関係を作っておくことは必要だと思う。

・年長:うちの子も引っ込み思案なところがあり、吃音でなくても多分みんなの前であまり発表とかしないタイプだと思うので、性格と吃音は切り離して考えたいと思った。ただ、最近吃音が出るとしゃべりにくいし、なぜこうなるのかと訴えてくるようになった。気にしなくてそのままでいいよと言っているが、本人が不安だと親も不安になりがちで、そういう気持ちが更に本人を不安にさせているようにも感じるので、親は気持ちを切り替えて、子どもを不安にさせないようにしたいと思う。

★授業中の発表について

・2年生:たまたま担任が不在で教頭先生が授業をされる機会があった。本人の吃音のことはきちんと理解されていたが、引っ込み思案なところがある本人に対し、あえて国語の音読を当てて言わせる機会を作られた。教頭先生は教育者として、本人を信頼して発言の機会を与えたのだと思うが、本人は、家に帰ってから、「もう、私吃音なのに、教頭先生に当てられちゃった。」と言っていた。嫌だったのかどうかよくわからなかったが、こういう指導皆さんどう思いますか?

*安田コメント:本人から、それほど嫌なことだったという感じでもなく、母に伝えられたということは、教頭先生ともいい関係ができているように感じる。だから、教頭先生は、本人に対して少し踏み込んでみてもいいのではないかと判断されたのではないか?

★言語通級をしている中で

・吃音があるため、親でも話が分かりにくいことがままあるので、そもそも、人に伝わりやすい話し方を身に付けるようにと考え、通級で、5W1Hで話すことの練習をさせてもらっている。自然と自分の話す力にしていけたらいいなあと思っている。

親として吃音を治してあげたいと思う気持ちがあるが、皆さんどうですか?

・幼稚園ぐらいまではそんな気持ちがあったが、今は、吃音も含めてこの人(子)だという気持ちが強くなった。治ってほしいという気持ちが全くないといったらウソになるし、親族に何か言われると揺らいだりすることもあるが、いろんな人の話を聞いて自然とそんな気持ちになってきたと感じる。

・年中の頃は治してあげたいという気持ちが強かったが、付き合っているうちに、ある時期から治ればラッキーぐらいに思えるようになった。自分に言い聞かせているところもあるかな。

・出なかった時期があったので、このまま治ったのかなと思ったりしたが、その後また出てくるサイクルがあり、そういうことを何回か繰り返しながら、だんだん吃音と付き合っていくということを受け止められるようになったと思う。しかし、本当に治せるものなら治してあげたいという気持ちはある。

・治したいと焦るのではなく、吃音も含めてその子だと、大らかな気持ちで見ていきたい。

*安田コメント:こどもが不安にならないように、一人で悩みを抱えないように、こうしてみんなとつながりながら、周りの人たちに理解をしてもらい、親の不安もなくなる世の中にしていきましょう!

★スタッフからのコメント

小倉:普段、保育所等訪問支援事業で園訪問している中で、吃音のお子さんが時々いらっしゃいますが、その子たちもこうした場に巻き込めたらいいなあと感じました。

齋藤:年齢によって吃音の自覚症状が全然違うことがよくわかりました。先輩のお話を聞くことは有意義で見通しにつながる良い機会だと思いました。また、その子のもともと持っている性格と吃音との付き合い方についても考えさせられました。

 

<欠席者からのメッセージ>

・3年生:言語通級に通っていましたが、3年生からは観察ということで一応卒業になりました。しかし、家庭ではよく喋るようになって吃音の症状がひどくなっています。本人的には、学校生活で困ったことやいじめはないと言っており、学校ではそれほど症状が出ていないようです。このままお喋り好きのまま成長してくれたらなぁと見守っていますが、それだけでいいのかなぁとも考えたりします。

・3年生:

①サッカー、勉強、遊びに、毎日分刻みで忙しい毎日です。今年の夏終わりから秋にかけて吃音がひどくなり、自分でも「話しにくい。」と訴える事もありました。それでも、授業で挙手するなど元気に過ごしています。友だちに「なんでそんな話し方なの?」と聞かれることもあるようですが、聞くと、「病気だから」と答えているようで、「病気じゃなく、個性だよ。」と訂正するのですが、説明が面倒なのか一言で終わらせています。担任からは、吃音は気にならないと言われています。

②3年生の後期は学級委員を目指していました。しかし、前期の委員の様子を見て迷っていました。多分みんなの前で話す機会が多く、吃音を気にしていたからだと思います。「頑張ってみたら?何事も経験だよ。」と声を掛けてあとは本人に任せました。ギリギリまで迷って「やっぱ辞めとく。」と言っていたので諦めたのかと思っていました。実際、やったはいいけど失敗してトラウマになるのも心配だったので、どう声を掛けたらいいか悩んでいました。しかし、何を思ったか、帰宅後、突然「立候補したで。」と言い、後期の学級委員になりました。頑張ってほしいけれど、失敗してトラウマにならないといいなぁと思っています。

③2年生の時のことですが、すごく仲の良かった友だちとトラブルになり、相手の親さんから、「○○くんに、『死ね』とか言われてすごく嫌な気持になる。暴力もふるわれる。」とクレームがありました。よくよく本人に確かめると、相手の子がとても口達者で、しつこくちょっかいをかけられ、口ではかなわないので、簡単に終わることばで応戦したようでした。理由は何であれ、親としてはそういうことばを使ったことに対して厳しく注意しました。吃音のせいだけではないとは思いますが、ことばがハンディになっている気がして悲しくなりました。

 

・年少:本人に吃音の自覚があり、親としてはフランクに話そうと努力していますが、吃音の話をすると本人が避けたりするので、どうやって話していけばいいかと悩んでいます。

これに対し⇒3年生の本人:(小さい頃のことは)覚えてないです!

その他の小学生の保護者の皆さんも、吃音が出始めた頃、子どもとどう話したかはよく覚えていないとの回答でした。中には、親が吃音について調べたことを子どもに説明し、それからはフランクに吃音のことを話す関係ができたという方もありました。

*安田コメント:年齢が低くても、吃音のことをしっかり自覚している子もいれば、自覚するのに時間がかかる子もいる。何歳になったら、子どもと共有していくかというのは個人差があるが、実際は親が思うよりも早くから子どもは自分の吃音に気付いているようなので、できれば早いうちから、折に触れて、年齢に応じた説明をしていくとよいと思う。繰り返し話すことで、理解と安心感がだんだん育ってくるのではないかと思う。

 

参加者のアンケートより

★保護者

・初めてZoomで参加したが、思ったよりもスムーズに交流ができて良かったです。聞きたかったことや他の吃音のあるお子さんがどんな感じで生活されているのか聞くことができて参考になりました。

・Zoomならではの楽しいゲームを考案してくださり、子どもも楽しんでいた。今回の話題では、子どもの性格によって吃音との向き合い方が変わるということ、吃音に目を向ける前に本人の性格をよく見つめてあげることの大切さの話が中心でした。我が家は本人の性格に親も助けられているなと改めて思ったことと、これまで、安田や田宮先生との出会いの中で、吃音との向き合い方の基礎を作っていただいたので、現在安定した思いでいられるのだということを感じました。

・身近に吃音の子がいないので、普段情報交流をすることができない分、今回参加させて頂いて、先輩方の体験談がすごく参考になりました。モヤモヤしていたこともたくさんありましたが、「みんなそうなんだなぁ。」とか、「そんな感じで大丈夫なのだ。」と思い直すことができたので良かったです。

・本人が吃音のことを気にし出したので、話しをするのを少し避けていましたが、この機会にもう一度ゆっくり話そうと思います。本人に、「みんな吃音のお友達だよ。」と伝えたら、少し嬉しそうにしていたので、周りに吃音の子がいないので、自分だけと思っていたのかなぁと思います。昨年の親だけのつどいもすごく良かったですが、子どもも一緒だと本人にとってもいいのかなぁと思います。

・久しぶりに吃音の話がゆっくりできました。子どもの成長と共に、吃音との付き合いも長くなり、親の考え方も変わっていくんだなあと思います。なので、他のご家庭の考え方やエピソードが聞けてすごく参考になりました。

★子ども

・同じ吃音のあるお友達と繋がれて嬉しかったようです。またこうした機会があれば、是非参加したいと言ってました。

・ゲームが面白かった。実際にみんなに会いたいな!

・小3の子が、随分大人びて喋る様子を見て親がびっくりしました。話していても吃音が出なかったので、後から自分で「今日は吃音出てもよかったのに。」とつぶやいていました。

 

 

文責 安田 香実