第9回 「吃音のつどい」を開催しました!
令和5年9月16日(土) 14:00~16:00
「第9回吃音のつどい」は、前回とほぼ同様の14家族が参加してくださいました。以下に内容をまとめましたので、参加された方もされなかった方も参考にして頂ければと思います。
☆おたのしみ会☆ 広~いアリーナでいっぱい動きました!
①落すな!エアーボール 巨大キュービックエアーボールをみんなでパス
②じゃんけん列車 じゃんけん王者が決定。K君、強いねー!
③家族対抗しりとり合戦 A君、うっかり「らいおん」って言っちゃった!でも、2巡目は「みかんのかわ」と切り抜けました。
④自己紹介 気持ちも体も温まったところで、言いたい子から順に。どんどん手が挙がりましたね!
◆保護者の交流会
2つのグループに分かれて行いました。フリートークでしたが、話題にタイトルをつけてみましたので、
気になるテーマから読んでいただければと思います。
【1グループ】 ※司会をして下さったYさん、ありがとうございました。
- 吃音のことを子どもと話せる関係づくり、周りにオープンにすることについて
・年中:年少から相談している。どんぐりに相談するまで吃音のことを本人と話したことがなかった。相談して、子どもと話せる関係を作っておき、友達からの指摘などがあったら伝えられるようにしておくことが大切と聞き、本人に話してみたが、話すことを嫌がって隠れたりする。本人と共有していきたいが、皆さんどうやって本人と話をされているのか聞きたい。
・小4:年中から相談していたが、最初の頃はやはり吃音のことを話すと嫌がっていた。認めたくないのか避ける感じだった。今でもまだそんな感じはあるが、吃音が出たときに、「今しゃべりにくかったでしょ?」と聞いてみると、「しゃべりにくかった。」と答えてくれるようになったが、学校でのことは話してくれない。普段は、ほとんど吃音があることを意識しないで過ごしているが、今後どういう風に付き合っていけばよいか知りたい。
・小1:年長の頃に吃音が出て話しにくそうにしていた時に本人に聞いてみたところ、「いつもこうなっちゃう。」と教えてくれたので、「それは、『吃音』って言うんだよ。」と教えてからは、本人と少しずつ話せるようになった。その後、幼稚園で「前へならえ」が言えなくて連発が出て、友達に笑われたことがあった。どうしたらよいか担任と相談したが、本人は自分で言いたいと言ったのでそうさせた。小学校に入ってからは、普段から寝る前などに学校での様子などを聞くように心がけている。ある時、「ママ、吃音ってなおるの?」と聞いてきたので、「吃音は治らないよ。」としっかり話した。今のところは学校で指摘されることもない様子で、困ったことを訴えてくることはない。ただ、言いにくいことばの時は、指を折りながら言うようにしている。治らないとわかったから、自分なりに工夫しているようだ。これから思春期になった時に話したくならないように、今から話せる関係を作っておきたいと思う。
・小4:言語通級に通っている。最近しゃべりにくいときに、心の中で「セーノ」と言うとタイミングが合わせやすくなるとに気づいてやっている。
・年長:年中から相談している。早くから本人に吃音の話をしている。「吃音が出るのはいいことだよ。」と話しているからか、家庭でも園でも連発がたくさん出るが、友達から指摘されたりしても、本人は気にしていない。
・司会:なぜ、吃音の話をすると避けるのだろう?幼稚園で何かあって、言いたくないと思っているのでは?
(吃音が出ることは)悪いことではないことを伝えたいよね!
・年中:なんか悪いことだと思っているようだ。話しにくさの自覚はあるし、福祉の里に相談に来ることはむしろ楽しみにしているが、深く話そうとすると嫌がる。園の担任からは、周りの子は気づいていないのではないかと聞いているので、思い当たることがない。悪いことではないということをこれからも伝え続けたい。
・小2: 普通のこと、癖の一部くらいに思いたいよね。
・年中:もともとことばが少しゆっくりだったが、幼稚園に入ってことばが増えた。年中になって吃音が気になりだし、7月から相談開始。本人は全く気にしていない。クラスの子どもたちは指摘しないし話し終わるまで待ってくれていると聞いている。一度、友達に「何言ってるかわからない」と言われたことがあったが、「ごめんね うまくしゃべれないの」と答えたらしい。
・司会:うちの子は、指摘されたりしたら、自分で説明するタイプだが、指摘されると嫌だなと思う子もいる。いろんな性格の子がいると思うが、幼稚園の時期は吃音の症状が最も多く出るときだと思うので、一番心配だと思う。学校で困ったこととかありますか?
・小4:年長の時に真似されたことがあったが、その子とは仲が良く、だから真似したようだ。園の先生からこどもたちに吃音のことを話してもらって安心した。小学校になって、国語の音読の時に吃音がたくさん出るので嫌がる。算数の計算カードも計算できるのに言えないのでイライラしていた。学校では、筆記はするが、発表はしませんと担任に言われていた。本人は吃音を気にしていて、親には聞いてほしくないと思っているのではないかと気遣い、触れない方がいいと思ってそっとしていたが、どうしたらいいか気になり、どんぐりに相談したところ、オープンにして学校でも説明してもらった方がいいと助言を受けた。それで、担任に話し、2年生の時にクラスで話してもらった。すると、みんなが知ってくれたことで安心したのか急にみんなの前で発表するようになった。3~4年生は男の先生で相性も良く友だちみたいに接していて、クラスでも吃音はめっちゃ出つつも、よく発表するようになったと聞いている。家でも吃音の話がしっかりできるようになった。4年生になってからスポ小のサッカーを始めたが、そこでも初めに吃音があることを話した。これからも学年が上がっていくが、本人が積極的なタイプじゃないので、前もって親が話していこうと思う。
※学年が上がる時に、前の担任からの引継ぎがない。毎年新しい担任になるたびに同じことを親が説明しているので、どうにかしてほしい。と数人の保護者から意見あり。
- 周りの人に吃音のことを伝えることのメリット
・小2:小学校の通学班の保護者にグループlineで先にお知らせした。からかわれてからだと大変だと思い、本人に「(吃音のことを)言うけどいい?」と確認したら、「言って!」という感じだったので伝えた。伝えたことで、理解してもらえていじめも防げた。一方で、「うちの子はまだ小さいから説明しないでおくね。」とか、質問をされる人、何も言わない人など、結構いろいろな考えがあって、人それぞれだと感じた。就学前までは、安田先生をはじめ味方が多かったが、そういう人ばかりではないことがわかった。しかし、吃音のことを言わない手はないと思う。言った方が理解が得られる。幼稚園の時も、友達のお母さんには言うようにしていた。すると、気にかけてくれて、「何か言われていじめられていたみたいだけど大丈夫?私(その子に)言っとくよ!」など、理解のある人が増え、伝えることはネガティブなことではないと感じた。自分だけで抱え込むより助かったことが多かった。
・小4:周りの人は、吃音のことを知らない人がほとんどなので、どう接していいのかわからないから、こちらからオープンにして言った方が、理解が得られる。
・小2:そうそう。自分の気持ちも楽になるし、子どもも、あのお母さん知ってくれているという安心感があると、自分から話に行ける。案外、身内の祖父母が難関だったりするね。敵は近くにいるみたいな…。一時期、祖父母から「躾がなっていない」とか「かわいそう」などと言われ、どう理解してもらおうか悩んだ。若い人たちや子どもは、説明すると素直に理解してくれるが、祖父母は本当に難関だった。それで、本を読んでもらうなどして伝えたことで、今はよく理解してくれて、直らないものだということもわかって接してくれている。知らないだけで意外と身近に吃音の人がいたりするので、周りの人に知っておいてもらうことはよいことだと思う。
- 親として吃音のある子どもとどう向き合うか
・小1:(親として)自分のメンタルに悩む。吃音は直らないし、仕方がないことだと頭でわかっているけれど、吃音が出ることに対してイライラする。(本人に対してではなく、吃音に対して)
・小4:親はやっぱり吃音を治してあげたいと思っているが、最近本人が「(吃音のことを)もうええわ、しょうがない。」と言うようになったので、本人がそう思うなら、それでいいと思うようにしようと努力している。
・小2:吃音はよくなるとは思うが、直りはしない。究極そこだよね。幼稚園の頃は、話したい気持ちがすごくある時期なので、吃音もめちゃくちゃ出ていたが、小学校に入ったら落ち着いた。それで親も油断していると、休み明けなどにまた出たりといったことが起きる。親は、その都度、子どもに「あなたが悪いわけじゃない。」ということを繰り返しきちんと伝えないといけないと思うし、癖の一種だと思うようにしている。それと、周りの人にフォローしてもらうようにして、自分一人で考え込まないようにしている。安田先生とか頼れる人を頼るようにしている。また、吃音の症状が変化するが、日頃から、本人に、どうしてほしいと思っているかを聞くようにして、それがかなうことであればそう対応するようにしている。
・小4:本人がだんだん対処の仕方を学んでいっている。仲の良い子は知ってくれているので、吃音出ながらしゃべっているが、クラスでは出ないように工夫したりしている。そもそもクラスではあまり話さないので、一見吃音が減ったように思われるけれど、家庭では吃音がたくさん出ており、減ったわけではないことを親は知っていないといけない。これから大きくなって対処の仕方については、やはり、本人と日頃から話していくしかないと思う。
・小2:今は、家では吃音が出るが、外では本人が気を付けているのであまり出ていない。これから行動範囲も広がって、指摘などされた時の対応が心配ではあるが、本人は自分で説明すると言っている。それがうまくいかなかったときに、親がフォローするかなというスタンスでいる。
・年中:本を読むと、吃音の子の8割ぐらいは自然に治ると書いてある。一瞬なくなった時期があったが、年少になってまた出始め、もう無理かなと思う。
・小1:下の子も2歳半ぐらいで吃音が出始めて、ああそうなんだ。と思っていたが、そのうち自然に治った。
・小2:ことばを覚えて自然に治るタイプだったんだね。
・小4:以前は、いじめられたらどうしようとか、指摘されてうちの子ダメになったらどうしようという心配ばっかりして、隠したい気持ちの方が大きかったが、今は、自分でそういうことがあった時に対応できる力を持ってほしいと思うようになった。何か困ったことがあった時に親には言いづらいのではないかと思い、本人に、「誰に一番話しやすいか。」と聞いてみたところ、親ではなく、「担任の先生」と答えた。そこで、担任に「何か困ったことがあったら先生に話すと言っているので、そういうことがあったら親に教えてください。」と伝えてある。自分が話せるところを作っておいた方がいいと思っている。
・年長:まだ、困っていないと思うが、最近人前で話すときには出ないように工夫している。
・小4:そうなったときにどうしようかという話をしてみたら?「隠す」と言ったらちょっと危険。
- 園や学校で吃音に対して対応されていることありますか?
・年中:歌や劇の台詞は吃音が出にくいと言われるが、本当にそうですか?
・小2:それは、自分で考えて言うことばではなく、先に決められたことばだからじゃないかな。
・小4:ことばの始めが母音のことばは言いにくい。台詞は言いにくかった。歌は、リズムに乗っているから、タイミングがつかみやすいのだと思う。
・小2:そうそう、母音が言いにくい。幼稚園の時、朝「おはようございます」の「お」が連発になってしまうので、本人は挨拶しないことに決めていた。発表会は担任と相談して、苦手なことばは、代えてもらえばいい。
・小4:うちもことばを代えてもらって対処した。また、一人じゃなくて誰かと一緒に言えば言えるので、そうしてもらったこともある。
・小2:それも本人に、どうしたいのか確認の上だよね。
・小4:日直でみんなの前で話すような時、予め担任に、調子が悪い時は誰かと一緒に言うように伝えてあるが、本人が、「今日は調子がいいから一人で言ったわ!」と言うことがある。吃音の波があるので、いつも誰かと一緒ではなく、一人でも言える機会を柔軟に作ってもらえると、自信になると思う。また、クラスの子どもたちには本人の吃音のことを話してもらうように伝えてある。1学年1クラスなので、担任は変わるけれど子どもたちは一緒だが、1年生の時に初めに話してもらったことを忘れてしまう子がいるので、真似したり指摘したりする子がいたらその都度繰り返し話してもらった。現在もそれは続いている。
・司会:それはお子さんが望んでいることですか?
・小4:そうです。自分ではなかなか言えないので、先生に言ってもらうと安心。クラスの女の子はよくわかってくれていて、吃音をまねたりする子がいると注意してくれる。クラスで話してもらうことについては、安田先生に相談したら、本人の気持ちを聞くと嫌だというかもしれないので、そこは、強行突破した方がいいと言われ、話してもらったが、結果、本人は話してもらってよかったと言っていた。いろんな子に聞かれても自分で説明できないので、話してもらってよかったと言っていた。
・小1:担任には話してあるが、クラスにはまだ話してもらっていない。何かあってからでいいかなと思っている。
・小4:1年生の時は、話してもらっていなかったが、今から思うと、本人は黙っていて、たぶん困っていたのではないかと思う。その後、吃音の話をしようかと相談したときに、「言わないでほしい」と言ってきたので、どうしてそう思うか聞くと「隠したい」と言う。「なんで隠したいと思うのか。」とさらに聞くと「吃音であることを恥ずかしいと思っているから。」と答えた。これはあまりいい状態じゃないと思い、吃音を隠さないで出している方がいい状態だということをきちんと話し、説明は「先生にしてもらうからね。」と伝えた。3年生にもなると、吃音のことだけ話すと誰のことかすぐわかってしまうので、担任は、吃音だけじゃなく、容姿やしゃべり方など人それぞれ違いがあるが、その違いを指摘したり笑ったりしてはダメだという伝え方で説明してくれた。本人はしてもらってよかったと言っていた。
・小2:うちの子は「自分で言うからいい」と言っているので、担任からは話してもらっていない。吃音の当事者である子ども自身の意思がしっかりあって、どうしてほしいか伝えてくるので、どうしようもなくなったら親の出番かなと思っている。自分で友達に「吃音だ」ということを伝えているので、国語の音読では、吃音がいっぱい出ているようだが、誰かと一緒に読むのではなく、自分のタイミングで読みたいと言うので、時間はかかるがそうしている。クラスにそれを指摘する子はなく、受け入れてくれている。「お前吃音だからしょうがないよな。」と仲の良い友達は理解してくれているようだ。子どもの性格による。
- 吃音の工夫や随伴症状について
・小1:学校ではまだ緊張しているのか、あまり出ていないようだが、家では吃音がたくさん出る。安心しているからだと思うが、家でも言い換えなど工夫しているのはどうなのか?
・小2:それが緊張状態なのか、リラックスなのかは、本人に聞かないとわからない。それが自分にとって一番言いやすいのかもしれない。判断は難しいところ。うちの子も、体を思いっきり叩きながら言うことがあって、大丈夫かなと思うが、止めようとすると、それでタイミングをとっているから止めないでと言う。友達が止めようとした時も友達に怒っている。(メンタルがすごい!)どうしても言いにくいときは、親に「これに代わることばない?」と聞いてきたりする。特に今は難しいことばを使いたがり(チャレンジしたい)、親としては、だから吃音になるんじゃないのと思うけれど、止めるのも違うなと思い、応じている。
・小4:外に現れる工夫の仕方だと、周りの人にわかってしまうのが嫌だから、うちの子は心の中でタイミングをとっている。
・小2:通級のグループ指導に通っているが、高学年の子たちを見ていると、自分で工夫していて、あまり気にならないような感じになっていて、こういう風になっていくのだなと参考になる。自分で考えている。
- 今後どうなっていくのだろう
・思春期になる頃は自分自身との闘いになるのでは?壁にぶち当たる時は必ず来ると思う。親にも言わなくなるかも。
・「なんで僕はこうなるんだ!(吃音)」と親が責められたと聞いたことがあるが、子どもとの付き合いをうまくやっていないとそういうことが起きるかもという恐怖はある。だから、今がすごく大事で、話し合える時にしっかり話し合っておいて(良い関係性を)蓄えておくことが大切だと思う。
・こういう会に参加すると、みんなそういう風にやってるんだとわかり、すごく勉強になる。
【2グループ】 ※司会 安田
- 計算カードの宿題に頭を悩ます
・小2:学校では、国語の音読で吃音が出ることもあるようだが、今のところ特に問題なく過ごしている。今一番苦労しているのは、宿題の「計算カード」。1分間にどれだけ言えるか測るのだが、あれは、計算の学習ではなく、早口ことばだと思う。担任と相談して、親が計算式を言って、子どもが答えを言うやり方にしてもらった。
・小2:うちも、困っているのは「計算カード」。「つまるから2回までしか言えない。」と訴え、すごく嫌そうに宿題の一番後にやっている。親は、「間違えるより(やった方が)いいと思うよ。」と助言し何とか続けている。
・安田:黙読でもOKにしてもらったらいいのにね。
・小5:うちも怒りながらやってました。最後はやっぱり早口ことばになるので、この勉強の意味が分からない。ある先生は、100マス計算をさせてくれて、それだと時間を計っても、計算の学習になるので、やる意味があると思う。
・小2:担任と相談して、その子に合ったやり方を考えるようにしたらいいと思う。上の子の時も下の子の時もその都度担任に話して本人がやりやすいように考えてくれている。みんなの前では発表しないことも約束してもらい、本人は安心していた。
・小5:皆と違うやり方で本人が納得する?それだったら、皆のやり方も一緒に変えてもらう方が納得がいく。
・小2:姉は吃音はないが、「計算カード」の宿題は泣きながらやっていた。親がストレスだった。
・安田:困っていることの声を上げてみてほしい。吃音でなくても困っている子はきっといると思う。音読だけでなく、手先の不器用さがあって、カードを早くめくれない子だっているはず。
- 学校での対応
・小2:症状は、少しの連発程度に落ち着いているものの、学校でもちょいちょい出ているようで、友達から指摘されることがあるようだ。そういう時は、自分で、「わざとじゃないからマネしないで。」と言っている。それで、ほとんどの子はわかってくれるが、一人だけ何度言っても真似してくる子がいて、ムカつくようだが、かといって普通にその子とも遊んでいるので、嫌いでいじめられているのではないことがわかっているのだと思う。本人が気にして落ち込んだりしたらどうしようかと思って見ていたが、平気らしい。ほかの子がわかってくれているからだろう。親は様子見。
- 当事者であり親としての考え
・小1:親の自分自身にも吃音がある。小学校の時、学級員とか体育委員をやっていて、ある時、練習ではうまく言えたのに、本番になって「〇〇さんを中心に広がってください。」という号令が出てこなくなってしまい(難発)、30秒ぐらいストップしてしまったことがあった。頭が真っ白になっていたので、皆の反応は全く覚えていないが、未だに同級生にその時のことを言われたりする。当時は、自分が「吃音」であるとは知らず、なぜか話す時にそういう症状が出るというくらいにとらえていた。今でも自己紹介や電話口などでは吃音が出やすい。今後子どものサポートをしていきたいと思っているが、最終的には、社会に出たら、自分で何とか解決していくしかないと考えている。社会に出たら、吃音のことを知らない人の方が多いので、親があまり手を出しすぎないようにして、本人が自分で何とかして解決するのを見守るスタンスで接している。
・小5:親がどこまで口を出していいか悩むところだが、小学校から中学校までは親が基盤づくり(問題が起きても大人や周りに相談すれば、解決できるという成功体験を積ませること)をやっておいてやりたいと考えている。自分の吃音を認めていないと、先生に言ってほしいとか人に説明するとかはできないと思うので、自分に自信が持てて、吃音を受け入れられるように育てたいと思う。
・安田:世間では、吃音のことを知らない人がまだまだ多いので、小さいうちから、周りに知っていてくれる人をコツコツ増やしていくことは必要だと思う。ある程度の年齢までは、大人に頼れば解決できる経験を積み、そういう安心感から将来自分でも問題に向かっていける土壌づくりができたらいいと思う。ただ、いろんな性格の子がいるので、その子その子への対応になると思うが。
- 吃音に対しての本人の自覚と周りの理解
・年中:まだ周りの人に指摘されたことがない。弟の名前など言いにくいことばがあると言い換えたりしているので、言いにくさには気づいていると思うが、それを「吃音」と言うことまではまだわかっていない。おとなしい性格で、今日の自己紹介も「ムリムリ」としり込みをしていて一番最後になってしまった。だから、もし誰かに指摘されても、まだ自分で説明することはできないと思う。本人とは、もし誰かに指摘されたら、「ぼくはこういうしゃべり方なんだよ。」と説明するように話しているが、きっとそんな場面になっても言えないと思う。どうやって教えていったらよいのだろう。本人は今のところあまり困っておらず、この調子で本人の困り感がずっとないと、友達から指摘されても、親に言ってこないまま、友達との関係性にも影響が出てくるのではないかという心配がある。小学校になったら先生は幼稚園ほど丁寧に付き合ってくださらないと思うので、何かあったら自分で対応できるようになってほしいと思うが、どう付き合っていけばいいか悩む。
・小5:保育園の頃、本人は園でもあまり話をしない方だったので、人から何か言われるなどの困り感はなかった。なので、周りの子に吃音のことを知らせる必要があるのか、本人は周りの子たちに知ってほしいと思っているのかなどのためらいがあり、話してもらうことをずっと迷っていた。しかし、家庭では頻繁に吃音が出ている状態だったし、クラスの3分の1の子が同じ小学校に行くことがわかっていたので、皆に知っていてもらった方が、この先学校に入ってからも安心できると思い、年長の3学期に吃音の話をしてもらった。本人に後から聞くと、話してもらってよかったと言っていた。小学校に入ってからも、繰り返し担任に伝えている。クラスでは、何か、決められた発表回数があるようで、必要最低限の発表にとどめている。みんなの前でどうしても言わないといけないときに吃音が出そうになると、自分で深呼吸したり言い換えたりして工夫している。
・年中:まだ、吃音の自覚があいまいで、「吃音」と言うことばもわかっていない。福祉の里の相談には遊びに来ている感覚。
・年中:自閉症もある。チックもある。ことばの出始めも遅く、ことばが出始めたころから吃音がある。自分の気持ちを伝えたい気持ちが育ってきたが、吃音が出てしゃべりにくい上に、自閉がありうまく表現できずに伝わりにくいという葛藤があって悪循環。これまでは吃音の波があったが、最近定着してきているように見受けられ、子どもも親も辛い。自閉の関係で、1日中ずっとしゃべっていて吃音もずっと出ているが、口を挟まず聞いているのも苦しく、付き合い方が難しい。救いなのは、小学生の姉の理解があり、(まだ吃音を)受け入れ難い父が吃音のことを指摘したりするときに、姉が注意してくれること。本人の意識はまだない様子で、就学後が心配。祖父母は、本人の吃音をすごく心配してくれて、「どもっているから練習しよう」と言って、ゆっくり言わせる練習をさせたりしていた。また、他の親戚からも、「どうしてこうもつまる?」と言われたりした。祖父母には、安田に初回相談した時にもらった資料を送って、理解してもらえたが、たまに会うような親戚にはどう伝えたらいいか難しい。
・年中:波があるので、祖父母には、「今日はひどいなあ」と言われたりする。そもそも、祖父母は「吃音」という単語も知らないので、「病気か?」と聞かれ、「本人の特徴」と説明しているが、理解を得るのは難しい。
・小5:父方の祖父母には、お父さんから言ってもらうのがいいと思う。
・安田:こういう会に参加していただけると、理解が深まると思う。本を読まれる方なら、本を渡して読んでもらうのも一案かと。
・小2:支援学級にいる。わかっているのかも知れないが、友達に聞かれた時に自分で説明するのは難しいと思うし、誰かに指摘されたりしているかもしれないが、親に伝えてきたことはない。周りの大人は本人の吃音に慣れてしまって、もうこのままでいいのかなと思いがち。しかし、支援級以外の世界とのつながりもあるので、時々、親から聞いてみたりしようと思う。
・安田:本人の自覚については、話し方の困り感には個人差があるので、時々吃音の話をしていけばいいと思う。どんぐりに相談に来てもらったときは、保護者と安田が吃音の話をしているのを傍でずっと聞いているので、だんだん自分のこととして理解していくようになるようだ。本人の理解を焦ることはないと思う。
- 高学年の子どもの困り感
・小5:小学校への入学時は学校の理解も得られ、よいスタートが切れた。毎年担任に説明してきたし、これまで親としては、吃音の子どもへの対応の基本も実践してきた方だと思っている。ところが5年生になり、音読で詰まると先生にやり直しをさせられたりするので、本人が「(担任の)先生は、自分の吃音のことを知っているのか?」と親に訴えてきた。しばらく様子を見ていたが担任の対応が変わらないので、連絡を取り、話してみると、「吃音があることは知っているが、気にならないので、他の子と同じ指導をしている。音読のやり直しは、詰まっているからというより、表現力の問題で、他の子にも同じように指導している。」との返答だった。本人曰く、「やり直しの回数が僕だけ多い。」とぼやいていたが、そういう理由なら仕方がないと思い、「他の子と同じようにはやってほしいと思うが、本人には、『吃音があることを先生は知っているから大丈夫だよ。』という声をかけてほしい。」とお願いし、それで、一応本人も安心したものの、音読に表現力を求められると、吃音の子は難しい。うまく読まなくちゃという気持ちが強まり、 余計吃音が出てしまいがち。 しかし、この経験から、難しいと思うのは、他の子と同じように接してほしいと思う気持ちはあるが、普段吃音が安定しているので、吃音のことを特に問題にされず、配慮まで忘れられているということ。言語通級にも通っているのに、(同様の理由で)通常との連携もなくなっていていた。高学年になり、自分で対応していく段階になったかなという気持ちもあり、少し親としては引いて見守っていた部分があったが、どこまで親が出ていけばいいのか。親が口を出すのは単なるクレームにならないか。いろいろ悩ましい。
・安田:通級の先生も交えて話し合いしたのですか?
・小5:通級の担当や支援担当の先生(特別支援教育コーディネーター)とも話したが、「吃音の子どもは、常に困っている状況ではないので、困り感を忘れがちになる。できるときもあるしできないときもあるので、困り感が分り辛い。」と言われた。それで、今頃、吃音の話を子どもたちにしましょうと言われ、これまでしていなかったのかとちょっと驚いた。軽く捉えられていることが親としては残念に思う。声を上げていかないといけないと今更ながら思った。
・安田:学年が上がり本人も言い換えたり工夫を覚えて、周りには本人がしっかりしてそうに見えるので、特別な配慮はもういらないんじゃないかと思われているのではないか。
小5:高学年になり、言い換えを覚えたり短いことばにしたりするなど、自分で工夫して日常的には卒なく過ごせてはいる。仕方がないと思うが、そういう状況が理解できる先生と軽くとらえる先生と温度差があると感じる。もっと慎重に対応してほしいと思う。
・安田:それは、適応力の成長と言えるが、できてるからいいじゃないかではなく、努力しての結果なので、そこを周りがちゃんと理解しないといけないと思う。(人口の)1%の吃音の子どもたちを支えるために、みんなでしっかり声を上げていきましょう。
【参加者ンケートより】
- 保護者
・年上のお子さんたちが、吃音と上手に向き合っていること、両親とオープンに吃音について話せていることを知り安心しました。今後積極的にポジティブな雰囲気で子どもと話していきたい。
・学ぶことが多く、お話を聞いているうちに心がだんだん軽くなりました。今後も、子どもに寄り添いながら、自分らしく生きるために支えていきたいと思います。
・もうすぐある、就学時健診の時に、具体的にこうしていきたいと、親と子どもの考えが伝えられるよう準備していこうと思います。
・吃音と言っても、一人一人症状や性格が違うし、他にも気になる面があるなど、いろんな子がいて、いろんなやり方があって、正解はないなあと思いました。だから、いろんな情報や体験談は貴重な参考材料になるし、それを基に私たち個人がどう考え、どう行動するか自分たちに合った最善の方法を見つけていけたらいいなあと思いました。
・実際に吃音と共に生きてきた方のお話は説得力がありました。社会に出たら、自分でどうにかしていくしかないし、付き合っていくしかないので、今から、躓いても心が折れないように、自分で立ち上がれるようにサポートしていきたいです。
・(普段あまり関心のない)父親から「集まりはどうやった?」」と聞いてきてくれ、少しではありましたが、吃音について話す機会が持てました。穏やかに聞いてくれたので、少しずつ変わるといいなと思っています。
・周りの人に理解してもらうことが子どもたちも楽に過ごせるのだなあと改めて思いました。前回に比べて、不安や心配感が少ない人が多いと感じました。こういう会があるお陰かと思います。
・この先のことを考えると不安なことだらけでしたが、皆と話せてとても気持ちが楽になりました。
・つどいの帰り道に、久しぶりにちゃんと子どもと、学校でどうなのかということを話しました。やはり友達に話し方で突っ込まれることがあるようで、嫌な気持ちになったけれど言い返せなかったと聞き、そんな時どう対処したらよかったかを話し合いました。学年が上がり、普段吃音に目がいかなくなっていましたが、こうしてたまに話し合いをするのも大事だなと思いました。
・吃音のことで人から言われた時に、しっかりと自分のことばで説明できる子に育てようと思い、自分自身で気付かせるように3つのことに取り組んでいます。①学校以外の子どもとのコミュニティーを作ってあげる。②振り返りノートに、習い事の後、チャレンジしたこと、次にチャレンジすることを書く。③一人一人との会話 これで子どものメンタルが鍛えられるかわかりませんが、効果があればいいなと思っています。
・今後、高学年向けのつどいがあったらうれしいです。
皆さんご参加ありがとうございました。
文責 福祉の里どんぐり
安田香実