身体的拘束適正化指針

身体的拘束適正化指針

令和4年4月1日施行

1. 身体的拘束の適性化に関する基本的な考え方

(1) 理念

① 身体的拘束の原則禁止

身体的拘束は、利用者(児)の生活の自由を制限することであり、利用者(児)の尊厳ある生活を阻むものです。事業団では、いかなる状況においても利用者(児)の尊厳と主体性を尊重し、身体的拘束を安易に正当化することなく、職員一人一人がその弊害を理解し、身体的拘束をしない支援に努めるとともに、緊急やむを得ない場合を除き、原則として身体的拘束は行いません。

②身体的拘束に該当する具体的な行為

次のような行為が身体的拘束に当たります。理由は問いません。

a 椅子にベルトや紐で体を縛る。
b 注射や血圧測定、歯科・耳鼻科検診、歯磨きなどで、頭や腕、身体を押さえつける。
c 脱衣を制限するために、脱ぎにくい服などを着せる。
d 他害、自傷行為を制限するために、手や腕の動きを抑制する装具を付ける。
e 散歩などで本人の意思に反して手をつなぐ。
f 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
g 落ち着かせるために自分で開けられない居室に隔離する。

(2) 方針

次の仕組みを通して、身体的拘束をしない支援に努めます。

① 日々の状況から利用者(児)一人一人の特性をよく理解し、身体的拘束を行うことなく支援するため日常的に次のことに取り組みます

a 利用者(児)主体の行動・意思決定の支援に努めます。
b ことばや対応等で、利用者(児)の行動を強制したり妨げたりしないように努めます。
c 利用者(児)の意思を汲み取り、多職種が連携して個々に応じた丁寧な対応に努めます。
d 「やむを得ない」として、身体的拘束に準ずる行為を行っていないか、常に振り返る姿勢に努めます。

② 利用者(児)・家族と支援方法について話し合います

利用者(児)の人権を尊重し、安心してサービスを利用していただくため、サービス利用契約時に事業所の方針を説明します。サービス事業所は、利用者(児)及び家族の生活に対する意向を確認し、それに対する支援の方向性を提案することで、身体的拘束適正化に向けた取り組みについて理解と協力を得られるように努めます。

③ 責任ある立場の職員が率先して事業所全体の資質向上に努めます

管理者・サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者・虐待防止マネージャー等責任ある立場の職員が率先して施設内外の研修に参加するなど、事業所全体の知識・支援技術の水準が向上するよう努めます。

2. 身体的拘束適正化に向けた体制

(1) 「虐待防止・身体的拘束適正化委員会Ⅰ」

身体的拘束適正化についての指針の整備などの体制作りをします。

※「虐待防止・身体的拘束適正化委員会規程」は別に定める。
※「虐待防止・人権擁護マニュアル」は別に定める。

(2) 「虐待防止・身体的拘束適正化委員会Ⅱ」(通称:虐待防止マネージャー会議)

次のことに取り組みます。

① 毎月、身体的拘束を含む、虐待ひやりはっとチェックリストにより自己評価をします。
② 虐待防止マネージャー会議を毎月開催し、各事業所からあげられた、身体的拘束ひやりはっと事案について、随時検証します。
③ 身体的拘束適正化を含む、虐待防止・人権擁護啓発の職員研修を、年1回以上実施します。(新規採用職員に対しては、採用時に随時実施)
④ 虐待防止マネージャー会議の記録をとり、各事業所の職員に周知します。

3. やむを得ず身体的拘束を行う場合

(1) 3要件

次の3つの要件を満たした場合にのみ、やむを得ず身体拘束を行うことがあります。

① 切迫性
利用者(児)の生命、身体、権利が危険にさらされる可能性が極めて高い状況にある。
② 非代替性
身体的拘束を行う以外の適切な支援方法がない。
③ 一時性
利用者(児)の状態像等に応じて、身体的拘束が、時間限定であり、一時的である。

(2) 要件合致確認

利用者(児)の状態をふまえ、事業所にてやむを得ず身体的拘束を行う必要がある場合は、施設内で、3(1)の3要件を満たしているか検討・確認した上で、管理者が身体的拘束の必要性を判断します。判断においては、拘束を必要とする理由、方法、場所、時間帯、期間等について検討し、本人・家族に書面(様式①「緊急やむを得ない身体的拘束に関する説明書」)で説明し確認を得、個別支援計画書にも記載します。
緊急やむを得ない理由から身体的拘束を実施した場合は、身体的拘束の実施状況や日々の利用者(児)の心身の状態を(様式②「緊急やむを得ない身体拘束に関する経過記録・再検討記録」)に記録します。

(3) 身体的拘束適正化のための検証

緊急止むを得ない理由の身体的拘束であっても、継続して行われているような案件については、「虐待防止・身体的拘束適正化委員会Ⅱ」(虐待防止マネージャー会議)にて身体的拘束解除に向けて、拘束の必要性や方法を逐次検討していきます。検証内容は、「虐待防止・身体的拘束適正化委員会Ⅰ」に報告します。

4. 指針の閲覧

本指針は、利用者(児)・家族等がいつでも閲覧できるように、事業所内への掲示の他、事業団ホームページに掲載します。